私達は、乳がんを体験した途端に、免疫力をつけなくてはといきなり、サプリメントを飲んでみたり、白米から玄米にかえてみたりします。何かしないではいられないという人間の心理かもしれません。更に、新型コロナウイルス感染拡大が気になる中「免疫力を高める」というフレーズをよく聞くようになりましたね。
ここに、興味深い記事(2020年4月11日朝日新聞)を見つけましたので、参考になればと思い、載せました。下記の文はそこから抜粋したものを、私が皆様の理解をいただけるように、書きました。
その記事によりますと、そもそも「免疫力」という言葉は医学用語にはないそうです。では、私達が勘違いしていた「免疫力」とは何でしょう?
病原体から身体を守る仕組み「免疫系」を多くの部品をもった機械とすれば、それぞれの部品は「免疫細胞」と言います。私たちは、「免疫細胞」の働きを活性化すれば、免疫の力は上がるにちがいないと思っているのではないでしょうか?そして、身体にいいとされる食品をとれば、免疫細胞の働きは活性化するに違いないと思っているのではないでしょうか?
ある食品の宣伝文句に血液中の特定の免疫細胞を測って、増えたと示しているものがありますが、免疫細胞全てが血液中を循環しているわけではなく、臓器の中で重要な役割りをはたしている免疫細胞もあるので、特定の食品などで、免疫系全体の働きを上げる秘策はなく、働きが悪くならないように維持することが大切だということです。
特定な免疫細胞を活性化するのではなく、免疫系の働き全体を活性化することが大切だということです。
免疫系の働きが悪くなる要因としてストレス、栄養や睡眠の不足が知られています。
「家にいましょう」と言われますが、家にごろごろしていて、ファーストフードやインスタント食品を食べて、朝寝坊するから、夜眠れない。。。でもサプリメント飲んでるし大丈夫では、免疫系の働きはよいわけがありませんね。
大阪大の宮坂招聘教授(免疫学)によりますと、免疫細胞は骨髄や胸腺で作られ、血管やリンパ管をいったりきたりする。速やかに流れるように、ウオーキングやストレッチなどで、ゆっくり筋肉を動かしたり、お風呂などで身体を温めたりすることもお勧めだ。食事もゆっくり食べ、一休みして散歩に行くとよいという。
こうして、免疫系の働きをよくすることで、私達は身の回りに病気を起す病原菌がいても簡単には病気にならないということです。
身体に防御の仕組みが何重にも備わっているからだ。例えば、気道や腸の粘膜は物理的に病原体の侵入を防ぐだけでなく、病原体を殺す物質を含む液を出す。唾液や涙、汗にもバリヤーとしての役割りがある。
バリヤーを乗り越えて体内に病原体が侵入すると、様々な種類の白血球が待ち構えている。その一つ、マイクロファージは病原体を殺す物質を出したり、病原体や感染した細胞を食べたりする。また、別の白血球であるリンパ球に「敵が来た」と警報を伝える働きもある。
これらは第一段階で働く「自然免疫」と呼ばれる。
第二段階の高度なシステムが「獲得免疫」だ。過去に侵入してきた病原体を覚えていて、その病原体が再び入ってくると素早く排除する。
以上のように、私達は、どこか一部ではなく、身体全体の健康を保っていく必要があるということですね。